No Train, No Gain! 2008

O-News 宮城島俊太さんが作成したページを(宮城島さん協力のもと2017年12月に)復元しました。


 2003年に情 報の共有化で行われたNo Train, No Gain!という企画がある。日本のトップ選手のトレーニング量・内容を調べ、海外の選手と比べるとい う企画だ。それから5年、2008年版を調査した。

 2003年版では2002年度日本ランキング10位以内の男子選手を対象にしていたが、今回は基本的にWOC2008日本代表選手を対 象とした。情報の共有化の調査から5年経つが、トップ選手がそれほど変わっていないのは業界としては寂しいことかもしれないが、5年間で の各選手の変化も見て取れるだろう。

gain2008.xls(xls:46KB)

 なお、各選手の回答は以下の表の通りだが、これが見にくい場合のためにエクセルファイルを用意した。より詳しく見たいときはコチラを。




名前 加納 尚子 渡辺 円香 石山 佳代子 稲葉 茜
所属 朱雀OK ES関東C 横浜OLクラブ ときわ走林会
年齢 38歳 32歳 24歳 23歳
身長 158cm 165cm 158cm 168cm
VO2max
54(2007年) 不明





過去のベストタイム



3000m 12分04秒
(2008年5月)
11分45秒
(2007年)
11分52秒
(2007年11月)
12分30秒
(2007年)
5000m
?
22分50秒
(2007年)
10000m
?

ハーフマラソン 1時間35分50秒
(2007年4月)
1時間35分くらい
(2007年)


フルマラソン 3時間40分ぐらいだった...
(2003年ぐらい)
3時間54分くらい
(1998年)


備考
(トレイルランレース結果等あれば)
山岳耐久レース 13時間38分37秒 性別で20位(2007年10月)







年間トレーニング時間 500時間 330時間くらい 250時間 210時間くらい
(2007年度)
そのうち地図を使ったトレーニング時間 100時間くらい? 100時間未満 20時間 100時間くらい、大会、合宿や練習会、地図読み走、地図読みなど
年間の走行(ランニング)距離 約3000km 2200~2300kmくらい 1500km 約1200km
年間の走行時間
280時間くらい 200~250時間 180時間くらい、地図を使ったトレーニングと重複してる
ケアにかける時間(週あたり) 3時間くらい? 5時間くらい 15分~20分 90分くらい





数値には表れない自分なりに工夫しているトレーニング方法・内容 なるべくオフロードとアップダウンのあるコースを走る。森林公園、自宅付近ロード、小学校グランド、ジム、1 週間のうちでいろいろ変えて内容に変化をあたえるようにしている。
低負荷の練習でも、最後はペースをあげて流しを入れる、ランニングテクニック、などでしめる。
昼休み30分ジョグは毎日確保、急な残業等でトレーニング時間が削られるのにも対処。
季候のいい時期はMTB通勤も月2,3回程度。(低負荷だが1回で2時間のトレ量)
飽きないようにトレーニング内容、場所を日々変えてます

重視しているトレーニング(またはトレーニングのポイント) 土日のレース、数少ない実践の機会なので大切に走るように気をつけます。 スプリントはすべての要素が含まれてかつ短距離なので、練習としては最適だと考えています。
ほかには最近では機敏さ、柔軟性の維持に気をつけるようになってきました。
大事なレースに対しては、メントレも。やれば結構ききます!
なるべく不整地、アップダウンを走る。インターバルなどで刺激を入れる LSD 地図を使ったトレーニング(筑波大のマップでスプリント、近所の公園でポスト周りの 動きの練習など)
日常生活での工夫(食事やケアなど) "12時までに寝る。食事は3食しっかり取る。靴はいつでも走れるもの。   毎晩風呂上りは軽くストレッチ 足裏もみ 朝起床時にも軽くストレッチしてから体を起こす、など。  日曜がタフなレースだと、月曜は温泉、銭湯などでゆっくりすごすようにしています。 ストレスを感じない、貯めない、即解消。 3度食べる、ストレスの解消法を複数持つ 3食しっかり食べて、間食はなるべくしない
留意していること、自分なりの流儀・信念 "やはり丁寧に準備をしてきたレースでは結果がでる、と思ってます。 おもいついたらすべてやる、できることはなんでもやる。
(確かに大変ですが、やるやらないで、自分の中のそのレースに対する真剣さもわかってしまう。)
続けられることも才能。可能性、才能の限界を決め付けない。 特に社会人になってから、トレーニングできなくても責めないこと
オリエンテーリング以外の好きなスポーツ 登山、トレイルラン 山関係。シュノーケリング。見るだけなら陸上もろもろ。 登山(ハイキングに近い)・水泳 卓球、バドミントン
その他の工夫・考えていること(自由記述) とくになし 飲む前に走る。飲んだら走る。疲れたら休む。 大事な大会前での「仕事」⇔「競技」の切替えをうまくやるコツを多く見つけること 時間の合うときは、筑波大の学生と一緒にトレーニングするようにしている(お互いに 刺激になると思うので)
名前 鹿島田 浩二 松澤 俊行 山口 大助 高橋 善徳
所属 渋谷で走る会 三河OLC ES関東C みちの会
年齢 37歳 36歳 32歳 31歳
身長 168.5cm 167cm 176cm 166cm
体重 59kg 56kg 62kg 57kg
VO2max 65 約70ml/min/kg 67.5 "68程度 (PolarのOwnIndex)"
備考 1996年筑波で測定







過去のベストタイム ほとんど10年前の記録ですが・・・。今は10000mまでの陸上は一律5%程度落ちていると思います。


3000m 9分15秒(1995年) 9分17秒 9分10秒(5000の計測中) 9分45秒(2005年)
5000m 15分46秒(1997年) 15分28秒 15分31秒 16分50秒(2005年)
10000m 32分50秒(1995年) なし 32分37秒(アップダウンの激しい未公認コース)
ハーフマラソン 1時間13分09秒(1999年) 1時間15分00秒 1時間11分02秒(NET) 1時間18分(2003年)
フルマラソン 2時間37分51秒(1997年) 2時間35分24秒 2時間34分06秒(NET)
備考(トレイルランレース結果等あれば) 富士登山競走3:08(1994) かつて富士登山駅伝 5区・7区合計で15位前後/100チーム中になった経験あり (下り7区だけなら最高5位) 2006三河トレイル2位、御岳山山岳1位
2007東日本国際ハーフ1位、
北丹沢10位、
富士山クロスカントリー4位、
山岳耐久21位、
御岳山山岳2位
2008新城トレイル11km1位、
表丹沢2位
ハセツネ9時間9分(5位:2003年)





年間トレーニング時間 430時間 近年は500時間前後 "370時間 (昨年度実績、地図を使ったトレーニング時間は最近の実績から推定)" 610時間程度
そのうち地図を使ったトレーニング時間 40時間程度 オリエンテーリング(大会、練習会、設置、撤収含む)100時間、読図走100時 間、計200時間 50h 約150時間(OLトレーニング時間)
年間の走行(ランニング)距離 3900km(自転車は除く) 4000㎞ 3000km 約2000km(平地ランニングのみ)
年間の走行時間 390時間 450時間(ラン+OL) 320時間 約200時間(平地ランニングのみ)
ケアにかける時間(週あたり) 1時間(多いほうではない) 上記トレーニングとは別に姿勢作りの補強運動やストレッチを合計3時間/週 1時間程度 1日15分として、1時間30分程度でしょうか





数値には表れない自分なりに工夫しているトレーニング方法・内容 工夫といえるかだけど、トレーニングはすべてハートレートをつけてPOLARの付属ソフトで管理してます。 トレーニング量は時間や距離だけでなく消費カロリーや、運動強度別の比を参考にして把握するようにしています。 過去のトレーニングログから、調子の良い時のトレーニングメニュー、量や同じメニューのHRなどを参考とし、自分の状態を客 観的に掴むようにしています。 実戦を意識し、負荷が高めの体力トレーニングを技術練習と組み合わせる(4分/㎞ ペースで読図走を行うなど) 普段の歩きでも走りをイメージして体を動かす 年間のトレーニングを期分けしています。その時期に応じたトレーニングメニューを心 がけています。
重視しているトレーニング(またはトレーニングのポイント) トラックでのペース走やビルドアップ走を最低Weekdayに1回行なうようにしています。距離は 6~20km、ペースは3'30~3'50/km程度。自身の体のコンディションの把握の目的もあります。 インターバルトレーニング。以前は1000m×5のインターバルを行ったりしたが。 頻繁にペースを切り替えた方がオリエンテーリングの実戦に近い部分もあり、フォームも整うという考えから、最近は 50m×20~30のセットを行ったりする。(両方混ぜて行えばなお良さそう) 階段トレーニング
ポイントは徹底した体の動かし方への集中
トレーニングのメリハリ、疲れへの対処
日常生活での工夫(食事やケアなど) 体重維持とコンディションを良好に保つため、脂質の多い加工食品は極力とらないようにしています。
睡眠を平均でできれば7時間、少なくとも6時間半保つようにしています。
筋疲労を感じる時は、冷水シャワーと、寝るときのアイシングで対応します。
好き嫌いなく食べる 水分はこまめに補給する よく眠る(←現在学生だからこそ出来 ることではある)  "トレーニングの場所時間にこだわらないこと 子育て等の疲れもあるので睡眠は多めに" 睡眠時間は絶対確保
留意していること、自分なりの流儀・信念 何事も惰性でやらないこと。仕事もお酒も遊びも何でも。
忙しくてもなるべくまめに走ること。20分でもいい。そうすれば気分はリフレッシュし、自分を見 失うことがない。"
①トレーニングの記録をきちんとしているか ②スピード走を練習に取り入れているか  ③大会前のウオーミングアップとダウンをしっかり行っているか が、(少なくとも青年層・少年層では)「競技者」と「競技 者ではない愛好者」を見分けるポイントだと考えている。だからこそ、この3点は自分でもきっちり行いたい。(これらを行う気 力が湧かないと不調を自覚する。) トレーニングは出来る限りオリエンテーリングのレースを意識して行う。 疲れをためすぎない
オリエンテーリング以外の好きなスポーツ トレイルラン。登山 水中ジョギング (他、特に好きというわけではなくても、大学で開講していて受講可 能な実技科目は極力受けた。この5年間で柔道、陸上短距離、ソフトボール、ハンドボール、バドミントン、卓球、硬式テニス、 バレーボール、遠泳、舞踊、器械体操を履修。) バスケ、テニス、スキー 球技全般、トレイルラン、クロスカントリースキー
その他の工夫・考えていること(自由記述) 「健全な精神は健全な肉体に宿る」といいますが、オリエンテーリングでも似たようなことが言えると感じます。 「最高のテクニックは最高のコンディションで達成される」
オリエンテーリングには極まれに、その人の客観的に見た走力では説明しきれない、眩しいくらいの パフォーマンスを発揮する瞬間がある。神が降臨したかのようなレースですね。その瞬間を味わいたくて、ひたすら日々のトレー ニングをしているのかな、と最近感じます。"
他の競技者の指導を通じ、自分が注意すべきことも確認している。 日本でのオリエンテーリングで井の中の蛙にならないように、ロード、トレイル等で刺激を与える。 29歳後半から、トレーニングの方法を変えています。疲れからの回復が明らかに遅く なっているし、怪我をしやすくなっています。しかし、自分の体に対する意識は前よりも強くなりました。体調の見極めが上手く なったと思います。




トレーニング時間内訳
クロスカントリースキー:90時間
ランニング:195時間
サイクリング:33時間
ジム:20時間
OL:130時間
ウォーキング(山登りなどの中負荷も含む):130時間
名前 紺野 俊介 小泉 成行 加藤 弘之 日下 雅広
所属 横浜OLクラブ ときわ走林会 ES関東C 東北大OLC
年齢 30歳 30歳 28歳 22歳
身長 176cm 180cm 169cm 180.2cm
体重 60kg 68kg 56kg 61.8kg
VO2max
66 72(PolarのOwnIndex) 59(PolarのOwnIndex)
備考








過去のベストタイム



3000m ※3000mSC 9分15秒(1996年) 9分41秒 9分50秒 10分14秒(2001年)
5000m 15分24秒(1996年) 16分58秒 16分40秒 17分16秒(2003年)
10000m 31分20秒?(1996年) 35分06秒 35分50秒 37分42秒(2006年)
ハーフマラソン -
1時間20分40秒 1時間18分56秒(2008仙台)
フルマラソン - 2時間57分55秒
未経験
備考(トレイルランレース結果等あれば) 第1回 赤城山トレイル ロング 6位







年間トレーニング時間 154時間(2007年度) 580時間 480時間(200707~200806) 300時間
そのうち地図を使ったトレーニング時間 ほとんどしてない 20min*200days=c.a 66.5h 不明 あまり行わない
年間の走行(ランニング)距離 1257㎞(2007年度) 2707km 不明 1000km
年間の走行時間 154時間(2007年度) 393時間 300時間 200時間
ケアにかける時間(週あたり) 4、5日(週2、3日のトレーニングの為) 20min*4days=c.a 1h20min 不明 1時間





数値には表れない自分なりに工夫しているトレーニング方法・内容 ・近所を走る際には、出来るだけアップダウンがあるところを走るようにしてます。 レース直後などはウォーキングを積極的に行い、回復させつつ体を動す。
一時期補強(筋トレ)をやっていた
重視しているトレーニング(またはトレーニングのポイント) ・平日がほぼゼロに等しいので、基本は週末でのトレーニング。1.5~3時間のLSDや、大会・練習会にはで きるだけ参加するようにしている。一人で行うと妥協があるので、忙しくても無理していきます。 レース直前(調整期)のインターバルトレーニング (3min+3min)*6
ペース走(呼吸・フォームを意識)
日常生活での工夫(食事やケアなど) ・食事は決まった時間に摂る事にしてます。
・昼はなるべく、バランスを気にして定食ものを食べるようにしてます。
疲労を感じるときはトレーニング時間を削ってでも睡眠時間を多くとる。 内臓に負担をかけない生活 徒歩移動を心がける
留意していること、自分なりの流儀・信念 ・レースの場合においては、自分の持ってる力(走力、技術力)で最善を尽くす。
・ペースを考えて走る。
学生時代よりも自由にトレーニングに使える時間が限られているので、トレーニングプ ランの中で必ずしなくてはいけないこと(ポイントトレーニング)を明確にし、それ以外はできなくても落胆しないようにしてい る。
大会・練習会重視、トレーニングは補助的、地図調もトレーニング
オリエンテーリング以外の好きなスポーツ ・陸上競技(マラソンや駅伝を見るのは好きです) サッカー、サイクリング サッカー 野球、卓球、バレー
その他の工夫・考えていること(自由記述) ・平日は仕事、週末・休日はオリエンテーリングやトレーニングのことだけを考えるようにしてます。
忙しくてトレーニングできないことが多々ありますが、諦めて週末に集中して頑張るように、できるだけメリハリをつけるように してます。"


大会のように全力でがっつり取り組むか、時間をかけてじっくり取り組むか、メリハリ を意識してレース、トレーニングをしている。中途半端なことはほとんどしない。





 全体的に見て、少しずつトレーニング量は増えているようにも見える。特に目を引いたのは、やはり時間の使い方(仕事とのやりくり)と、 回復のための努力だ。 それぞれが年齢を重ねたことも要因だとは思うが、回復、特に睡眠について気をつけている選手が多いように思う。

 多くの選手にとって、ベストタイムなどのデータ的な部分は自分との差を知るための情報となるだろう。また、自由記述で書かれた部分はそ れぞれの選手の特徴や工夫が書かれているが非常に興味深い。 気になる部分があったなら、直接聞いてみるのもいいだろう。

参考URL
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