No Train, No Gain!
(日本版)    文責:円井基史


■趣旨説明

雑誌「O-sport」2-3/2003に掲載された特集「No Train, No Gain!」の日本バージョンを作ろう、というのが今回の企画の思いつきである。日本のトップ選手は海外のトップ選手と比べて、トレーニング内容に差があるのだろうか、また日本選手の中でもどのような差があるのだろうか?2005年日本開催の世界選手権に向けて日本代表選手がこなすべき課題は多い。我々はその課題をクリアするため、いかなる内容の、いかなる量のトレーニングを行えば良いのか?

個人的にはここに挙げた質問内容がOLのトレーニングを評価するに十分だとは思わないが、海外トップ選手と比較できるという点で有用な資料になりうると期待する。今回は2002年度日本ランキング10位以内の男子選手を対象にアンケートを実施した。


■結果

比較データとして雑誌「O-sport」3/2003、46ページに掲載されたMikhail Mamleev、Grant Bluett、Grant Bluett、Peter Oberg、Robert Banachの4選手のデータを引用した。


 



■総評

まず海外選手のVO2max(最大酸素摂取量)の高さが目をひく。日本選手が60台に対し海外選手は70-80台と、他競技のデータと比較してもかなり高い値である。ベースとなる身体能力での差が大きいと言える。

OL走力をトラックタイムで評価できるかという疑問もあるが、データが揃っている5000mタイムに着目すると、日本選手と海外選手の間に105-120%程度の差が見られる結果となった。日本選手間だけで115%程度のばらつきがあるが、実際のOLレースの成績を鑑みると、5000mタイムの差がそのままOL成績の差になっているとは言えないだろう。

海外選手の年間トレーニング時間のデータがないのが残念である。日本選手の年間トレーニング時間は300-550時間程度、この数値の評価ができない。ただイーキス氏(デンマークナショナルチームコーチ)によると、北欧のトップ選手の年間トレーニング時間は500-800時間とのこと。

トレーニング強度の割合であるが、個人差が大きく一概には言えないが、ここにある海外選手はおおよそ強10%、中30%、弱60%といった感じである。

走行距離・時間であるが、日本選手と海外選手にそれほど差が見られないといった興味深いデータが得られた。クロストレーニングが一つのキーポイントになるのではなかろうか。

海外選手の好きなトレーニングで、オリエンテーリング(その多くが、短くてテクニカルなOL)という答えがよく見受けられる。彼らが日常的にOLをできる環境下にいることを示しているだろう。ここで見られるトレーニングの質、量ともに、日本が見習うべきものは多いと思われる。


inserted by FC2 system