高橋善徳
2002年度日本ランキング 1位
2002年度全日本選手権 準優勝
2003年世界選手権 日本代表
質問1
フィジカル(体力)トレーニングについての質問です。
(1)昨年度(2002年度)のトレーニング状況(内容、量など)
4月から7月まで(すいません8月の遠征中のデータは取れてません)
月 |
Run(min) |
OL(min) |
Jog(min) |
その他 |
total |
走行距離 |
4 |
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|
|
1816 |
267 |
5 |
861 |
416 |
597 |
612 |
2486 |
354 |
6 |
402 |
250 |
1102 |
447 |
2301 |
352 |
7 |
255 |
333 |
758 |
704 |
2050 |
395 |
8 |
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205 |
9 |
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? |
10月からの週ごとのトレーニング量(時間と強度)の推移
オリエンテーリング+トレイルランの量の推移
走行距離の推移
(2)今年度(2003年度)の年間トレーニング計画
<前半>
昨年度のユニバー(8月)の経験を踏まえ、同じく8月の世界選手権に照準を合わせたトレーニング をしようと考えている。5月には10-12h/週、6月には大会が多いので
8-10h/週のトレーニングをこなしたい。ただ、毎週連続して量をこなすと疲れがたまるので臨機応変 に量を調整したい。7月にはJWOCのコーチを予定しているのでトレーニング自体は減らす。
JWOC終了後には疲れを抜きつつスイスに早めに入り現地でのトレキャンで最終的な調整をする。
<後半>
WOC終了後は少し休みを入れつつ気分的にもリフレッシュしたい。9月から再び8-10/週のトレーニング をし、10月か11月にはヨーロッパも冬になるので日本に帰国し秋のシーズンに備える。12月からは今年
と同じようなトレーニングを再び実行したい。
自分の体について敏感になること。ケアをしっかりし、疲れをためない。
(3)典型的なメニュー、1週間の過ごし方
%はHRで練習は基本的に午後7時くらいから行っていた。
日曜日 オリエンテーリング(90〜120分)
月曜日 ジョック、筋トレ+ダッシュ×5〜10本、ジョック
火曜日 LSD(90分>>>60%)、またはロングインターバル(90分>>>85%-65%)
水曜日 レスト、またはウォーキング(40分位>>>55%)
木曜日 ジョック、スピードトレーニング(インターバル・ペース走 90%)
金曜日 レスト、またはウォーキング(40分位>>>55%)
土曜日 筑波山登り(60分>>>90%)、またはオリエンテーリング(30〜90分)(
*気分の乗らない時などはサッカーを入れたり、バドミントンを入れたり練習には工夫している。
*疲れがたまっている時などは、朝ウォーキングを入れ午後はやらない。
(4)トレーニングの評価指標(距離、時間、心拍数など)
1日のトレーニングの中でなるべく1回は心拍数を上げる(80%くらいまで)。 トレーニングの中でOL以外で走りにくいところを意識してはしる。その際、
OL中のスピードと動きを意識する。特に、直進の動きは忘れない。 多いときは10-13h/週、調整の時期は7-9h/週のトレーニング時間をこなす。
1週間では疲れが取りきれないので、狙うレースは1ヶ月近く掛けて回復させる。 距離は全く考えていないが100キロ/週いくと嬉しい…。
(5)目標となるタイム(例えば、5000mで16分、フルマラソン3時間以内)
フォレストランナーになればなるほど効率の悪い走り方になる気がするのでもう無理かも しれないが、5,000m16分40秒は目標。フルマラソンは走ったこと無いが、一度は走りたい。
質問2
テクニカルトレーニング、メンタルトレーニングについての質問です。
(1)OL技術(読図やコンパスワークなど)に関するトレーニング
基本的にOLの技術的なトレーニングは、山でしか行っていない。山でやるときは コースを組んでそのコースをミス無くまわることを意識する。自分の中で、@プランニング・
A歩測・Bサムリーディングは絶対に行わなければならない技術だと確信している。また スピードアップと滑らかなOLのためにはCヘッドアップ(遠くを意識して見る)・
D“正確な”コンパスワークは必須であると考えている。山でのトレーニングはこれらの技術 (基本技術と僕は呼んでいる)の習得に従事する。テライン・地図によって多少の片よりはある
かと思うが、どのテラインにも順応し反応できるようにする。
(2)メンタルトレーニング
メンタルトレーニングは大学生の頃、自律訓練法やメンタルリハーサルなどの形式的なもの にはまっていたが今はそれを上手い具合に自分の中で消化できている。特にメンタルトレーニング
は“大事な=プレッシャーのかかる”大会で必要となるが、その中で自分が意識することは @自分の身体的なものに対して否定的な見方をしない。A自分の力でコントロールできないこと
=天気・テライン(やぶいとかきついとか)・ライバルに意識を向けない。B現在の状況に集中する。 結局はBに集約されてしまうが、レース中は今の状況をどう打破するかに
焦点をあてる。レース前のトレーニングも@〜Bのことを意識しながらトレーニングする。 レース前にはかなりナイーブになるので@の状況に陥りやすい。あと、イメージ
トレーニングをする。特にその時自分が課題としてあげていることをイメージする。実際の トレーニングのとき公園の林でコンパスを使って行う。最近は脱出のイメージ(プランニングして
正置して顔上げて脱出)とアタックのイメージ(円の手前で円の中の情報を手に入れて周りを見ながら コントロールに的確にヒット)を作っていた。
質問3
トレーニングにおける工夫についての質問です。
(1)オリエンテーリングを特に意識したトレーニング方法
1週間のうち最低3回は山でのトレーニングを行うようにしている。これはOLに必要な 筋肉と心肺機能を作るためで、特にアップダウンのあるところを走ると心拍数が割と
簡単に上下するのでとてもいいトレーニングになるし充実感も大きい。公園でのイメージ トレーニングもオリエンテーリングを意識したトレーニングになる。倒木の多い不整置を
モモを上げて走る姿をイメージしたりもする。動き作りも非常に大切なので、脳からの命令 がすばやく足に伝わるようにドリル的なトレーニングも最近は取り入れている。
(2)トレーニングする時間を確保する工夫
夜のトレーニングに割合時間を避けるので自分の場合、朝のトレーニングはウォーキングか 筑波山登りかの2つだけでジョックはしない。つまり休むかきついのを入れるかどちらかにしている。
仕事を切り上げるタイミングが難しいが職場の方には理解してもらっていたので、6時〜6時半には 職場を出ることができた。土曜日は仕事の始まる時間が遅いので早朝山に走りに行っていた。
(3)その他トレーニングにおける工夫
工夫と言うとどうやってトレーニング量を確保するかと言う話題に行きがちだが、トレーニング量に 満足してはいけない。特に5-6割の負荷で量をふやしてもなかなかレベルアップは難しい。的確に休み
を入れしかるべきところで高い負荷(翌日に走れなくなるほどの負荷は逆効果)を入れなければならない と感じている。トレーニングが自己満足ではなく確実に力になっていることを確認しながら行う。特に
目指す大会が明確な場合、トレーニング計画と自分の現在の状況を客観的に分析し休むべきなのか、そうで 無いのかトレーニング計画の変更は必要なのか?をしっかりと見極めることが必要だろう。つまりトレーニング
においても「現在地の把握」と「目標地点への方向と距離の明確化」は必須。
質問4
日常の工夫についての質問です。
トレーニング以外で、トレーニングやパフォーマンス向上に関連した日常の工夫があれば教えてください。
感情のコントロールには気を使っている。仕事が上手くいかず、あせったりイラついたりしている時は、いかんいかん冷静に情報を処理するんだ。と言い聞かせ、あくまでも冷静に物事を進める。
質問5
最後に、オリエンテーリングに取り組んでいる学生に対して、アドバイスをお願いします。
「ORIENTEERING GIVES YOU MORE」僕の大好きな言葉。オリエンテーリングはあなたの世界を広げてくれる。しかも確実に。もちろん色んな意味の世界のこと。こんな競技、他には絶対無い。情熱を持ってオリエンテーリングをし続けてください。