高橋 直博

クロスカントリースキー選手
スキーオリエンテーリング選手

フィンランド・ロバニエミ在住

1997年 インカレ30km/フリー 2位 
2000年 フィンランド選手権 30km/フリー 12位
2002年 FIS公認ラピンクルタカップ総合2位
2002年 フィンランドにてプロフェッショナルコーチング資格取得
2004年 国体個人10km/クラシカル 優勝

高橋直博選手のホームページ → www.B-Heroes.net - All of us are Heroes ! -



私もここにトレーニング方法を紹介しますが、あくまでも参考ということです。自分の今まで培ってきたものがあるのでしたら、それらを大切にしていくことも 重要かと思います。

それでは初めに、自分自身の目標を考えて見ましょう。最終的な競技人生のゴール、そしてその間の一年一年の目標、ましてや前回紹介した体力測定も目標の一 つだと思います。それらの小さな目標を一つ一つクリアしていく、たまには挫折もあり、そして最終的に自分の一番の目標としていたものに達するか、それとも 満足のいくパフォーマンスができたか、がアスリートとしての至福の時だと思います。その明確な目標が、トレーニングを継続する何よりもの動機、そして効果 を高めてくれると思います。ということで、まず自分の大きな目標、そして小さな目標を初めに明確にしましょう。

で、ここから私のトレーニング方法です。


★☆★ NO.1 ★☆★

去年、私は合計700時間強のトレーニング時間を持ちました。ほぼスキーだけのことを考えればいいだけの生活でも、一杯一杯の時間です。トレーニング用 具、ワクシング、体のケアを十分にサポートしてもらえ、かつ経済的なバックアップがある環境がなければ、この数字以上のトレーニングはオーバートレーニン グになると認識しています。みなさんの昨年度のトレーニング時間は何時間でしょう?それでは今年、何時間の練習時間を設ければいいでしょう?競技力向上、 もしくは最低でも維持したいとお考えであれば、昨年度のトレーニング時間の10パーセントぐらいを上乗せしたトレーニング時間が適当ではないかと思いま す。また、week18-33(4月下旬-8月中旬)をオフトレーニング一期、week34-49(8月中旬-12月上旬)をオフトレーニング二期、 week49−17をレースシーズンと考えると、

オフトレーニング一期トレーニング量 32% (16week)
オフトレーニング二期トレーニング量 40% (16week)
レースシーズントレーニング量 28% (21week)
合計 100% (53week)

と言った割合でだいたいトレーニングすることが理想と考えられます。トレーニング時間は個人の年間トレーニング量によりますが、アイデアは練習量に(質に も)強弱を付けると言うことです。これは、各週ごとにもいえます。休養の週、準備期間の週、ハードなトレーニングをする週、などと練習にリズム(波)を作 ります。もちろん、日毎でも同じことが考えられますし、逆に年毎にも強弱をつけて、何年後の国際大会に標準を合わせるといったことも考えられます。みなさ んもご存知かと思いますが、練習さえすればいいというのは間違いです。定期的な休養、トレーニングリズムが、よりトレーニングの効果を上げます。ただし、 仕事や勉強の関係でトレーニング時間を増やせない・練習量に強弱を付けられないと言う事であれば、無理をせずトレーニング量を維持しながら、少しずつ練習 量を変化させる、といったことを目標にされていはいかがでしょうか。


★☆★ NO.2 ★☆★

次に練習強度を考えたいのですが、まずはじめに確認しておきたいことがあります。それは 『乳酸の生産量=乳酸の分解量』の境界線心拍数です。個人によっ てまちまちですが、大よそ150-160拍/分だと思います。その境界線を境にベーシック持久トレーニングとスピード持久トレーニングに分類されます。

■ ベーシック持久 『乳酸の生産量<乳酸の分解量』 -> 主観的感覚はeasy
■ スピード持久 『乳酸の生産量>乳酸の分解量』 -> 主観的感覚はhard

この持久系のトレーニングの他に、筋力トレーニングも大切と考えています。筋力トレーニングも、週1−2回ずつ継続して行くことが理想かと思います。 (シーズン中も)

オフトレーニング一期トレーニング強度(Intensity)の割合
Basic <80%, Speed >10%, Strength=10%

オフトレーニング二期トレーニング強度(Intensity)の割合
Basic=80%, Speed <10%, Strength >10%

レースシーズントレーニング強度(Intensity)の割合
Basic <75%, Speed =15%, Strength >10%

私は、このような割合でトレーニングをプランを組み立てていました。あとオフトレーニング一・二期に、ほぼ毎週ロングトレーニングを行っていました。私の 中では3時間以上の練習をロングトレーニングとしています。金山町(私の実家)-Rovaniemi間で交換留学をしているのですが、Rovaniemi にきた高校生には2時間半のトレーニングをロングトレーニングだと定義しています。ロングトレーニングはもちろんベーシックに入ります。


★☆★ NO.3 ★☆★

最後に考えてもらいたいことが、トレーニング方法(Method)です。いくらSKI-Oの選手だからといって、いつもスキーとオリエンテーリングのト レーニングばかりだったら、一年間トレーニングを継続することは大変でしょう。私の行っているトレーニングの種類は下記のようにあります。

■ ベーシック&スピード持久トレーニングカテゴリー ■
※ローラースキー CL & SK
※スキー CL & SK
※ポール(ノルディック)ウォーク or ランニング
水泳
ボート
ランニング or ウォーキング(オリエンテーリング)
サイクリング

■ 筋力トレーニングカテゴリー ■
ダブルポール(上半身のみ)
ノンポール(下半身のみ)
筋力トレーニング (Machine or Free weight)
サーキット
ジャンプトレーニング

■ その他 ■
レクレーション など

ここで注意して頂きたいことが、『※』印のトレーニングです。スキーはご存知の通り4つ足スポーツ。その4つ足を使うトレーニングとして、これらの専門ト レーニングの割合が重要になります。

オフトレーニング一期専門(specific)トレーニング割合 ≒ 60%

オフトレーニング二期専門(specific)トレーニングの割合 ≒ 75%

レースシーズン専門(specific)トレーニングの割合 ≒ 90%

オリエンテーリングの場合、オリエンテーリングも専門トレーニングになりますね。地図を持ってのトレーニング回数なんかをトレーニング日誌につけることも 面白いかもしれませんね。あと、フィンランドでは新聞(雑誌)の切抜きを読みながらトレーニングしてたりします。


★☆★ 最後に ★☆★

トレーニングを理解することが一番大切だと思います。なぜ、この時期に、これらのトレーニングをするのか、、、など。ロバニエミのスポーツ学校のスキー選 手なんかは、トレーニング開始前にコーチから簡単なレクチャーを受けます。トレーニングを無意識に行うのと、トレーニング効果を理解しながらするのでは、 たとえ同じ練習をしたとしてもその結果は明らかに違ってくるはずです。


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