故障予防のためのケアについて


吉田 勉










1. はじめに知っておきたいこと

a)筋肉は疲労すると収縮しなくなり、機能不全に陥る。
b)乳酸や、痛みを伴う物質は、血流量の増大により分解され、流れ出される。
c)筋肉の遠心性収縮は筋の損傷を起こす可能性がある。


2. マッサージ

マッサージは血流を良くする、不要物質を押し出すといった目的で行われるものです。人にやってもらうのは気持ちのいいものです。リラクセーション効果は大きいと思われます。ただし、自分でやるとこうした効果は期待できません。
準備運動として競技前に行うとするならば、血流を良くするという意味で、軽くさする程度がよいと思われます。


3. ストレッチング

疲労回復に対するストレッチングの効果には疑問があります。他動的で、反復性も無いので、血流を促進する効果はあまり無いでしょう。柔軟性・関節の可動域を確保しておくという意味では組織に負担無くできるので良いと思いますが。トレーニング前に持続的なストレッチングを行うと筋肉の活動性を落とす可能性があるのでご注意を。


4. テーピング

テーピングは関節保護のためには必要ですが、単に捻挫予防のためにするのはどうかと思います。習慣的にテーピングをしていると、筋が外力に反応する経験が少なくなるため、筋の反応性および協調性の向上が損なわれる可能性があり、テープの張力の範囲を超えたときにもっとシビアな怪我をする可能性があります。また、テーピングをせずに軽い不整地走をしたときなどに簡単に捻挫することにもなりかねません。怪我のため、仕方なくテーピングしている人も、一方で軽い負荷での協調性トレーニングをやって、筋そのものの機能を上げる必要があると思われます。スパイラルテーピングなどのような特殊なものについては、自分で利いたと思ったら使えばいいと思います。もちろん疲労回復や準備運動の効果は無いと思います。


5. 軽い運動

準備運動としても疲労回復の手段としても、一番のお薦めはこれです。まず筋肉のポンピング作用で、血流は良くなります。また、有酸素性の運動ですから、乳酸を還元する働きも生じます。筋肉は相対する筋が収縮するときに弛緩する。収縮の後に弛緩しやすいなどの性質がありますので特に交互運動を行うと効果的です。但し、疲労回復を目的として行う時には、筋肉の柔軟性が落ちている状態です、遠心性収縮にならないよう注意して行う必要があります。大事なのは軽く筋肉を使うことです。軽い運動なので危険性もありません。準備運動としては、関節可動域全般にわたって動かしておくと筋肉の伸張性も確保できて、良いと思われます。






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