イギリスチームミーティング議事録(2003.11.29)
円井基史
日時:2003年11月29日(土) 20:20-21:45
場所:愛知県作手野外活動センター
ゲスト:
Jamie STEVENSON
1975年生、2003年世界選手権スプリント世界チャンピオン、リレー3位、世界ランク5位
Daniel MARSTON
1974年生、2003年世界選手権ロング14位、リレー3位、
Jon DUNCAN 1975年生、2003年世界選手権ロング25位、リレー3位(2走区間1位)、
Martin Bagness
1960年生、コーチ、1993年世界選手権リレー2位
<今回の遠征について>
ルートチョイスを調べた
沢を行くのか、尾根を行くのか、それとも大回りか?
日本のテレインはルートチョイスが難しい
類似したテレインに数多く入ることが可能な日本人は恵まれた環境にある
<テクニカルな面について>
1.
ルートチョイスが重要
ショートレッグでもルートチョイスが重要である
2.
コントロールから離れる前にルートを決めることが重要
なぜなら、斜面が急だから(下るのか登るのかコンタリングするのか、平坦なテレインに比べ、その差が格段に大きい)
3.
細かいルートチョイスが重要
4.
尾根辿りで尾根の分岐を正確に辿ることが難しい
5.
斜面を歩いて登るときにプランニングすることが大事
<フィジカル面について>
1.登り
(斜面が急な愛知では)
連続した尾根切りをこなすタフネスが必要
トレーニングで山を多く走ることが重要
その際、道ではなく、道以外を走る
2.下り
(斜面が急な愛知では)
ブレーキをかけないで下るテクニックを身につけることが重要
3.笹藪+倒木
(笹藪や倒木が多い愛知では)
笹藪や倒木が多く走りにくい足場をうまく走りこなすバランス感覚が必要
やはりトレーニングの70-80%を山で走ることで対処する
山の中で短いインターバルを繰り返す
<魚について −日本の有利さ>
日本は恵まれている
通常ヨーロッパで行われる世界選手権に比べ、日本開催の2005年の世界選手権では、日本チームが活躍するチャンスは大きい
その理由は親しみなれた環境にある
新聞、テレビ、ラジオ、食べ物、全てにおいて、リラックスできる環境にある
例えば、魚が嫌いな外国人は、相対的に不利である
<職業とトレーニングの時間の確保>
マーティン:
チームコーチと、作図(マッパー)
ジェイミー:
小中学校の教師、スウェーデンに住んでいる、
パートタイムなので、トレーニングの時間は確保しやすい
ダニエル:
プログラマー、フルタイム、ただし、2倍の休みをもらうなど配慮はある、
夜走るときはヘッドランプをつけて森を走る
ジョン:
地質学者、フルタイム、
昼休みや夜にトレーニングしている
<バランス感覚を強化するトレーニング方法>
・とにかく山を走る
・サッカーなどの球技を行う
・ジムなどで筋トレ、サーキットトレーニングを行う
<クラシックとスプリントの違い>
・シンプルに、シンプルに、それが重要
・シンプルなルートを取ること、これはクラシックにも共通する
・シンプルなルートは方向を変える回数が少なく、その分ロスが少ない
<スプリントに向けたトレーニング方法>
・短い距離でのオリエンテーリングをよく行う
・街なかでコントロールをたくさん置いたコースを走る
・ライン-Oを行う
<スプリントに適している選手>
・走るのが速い選手(持久力はあまり必要ない)
・判断力、判断のスピードに優れている選手
・ロングもミドルも勝つ選手はみな共通して強い選手だが、今後スプリントでは、スプリント専門の選手が出てくる可能性がある
・距離が短いから高い集中力を維持する必要がある
<3000mのタイム、陸上トレーニング>
山ばかり走っているから、普段トラックでタイムを計ることはない
最近になってトラックで3000mのタイムを計った
ジェイミー:9ユ09
ジョン:8ユ47
昔は陸上のトレーニングもしていたが、今では山ばかり走っているから、トラックのタイムは遅くなった。だが、山でのスピードは上がっている。トラックでタイムが出ないのは、筋肉がついて重たくなったこともある。
もっともっと山で走るべき
もし小さな林や公園しかないのなら、そこをぐるぐる走ればよい
その狭い範囲でインターバルトレーニングをすればよい
夜しか走れないなら、ヘッドランプを使ってでも走るべき
<素早い意志決定、判断力のためのトレーニング>
・数多くOLをすること、経験によるところが大きい
・地図を使ったゲームをする
2秒間地図を読む→走る→お絵かき(作図)
・O-Sportなどの雑誌に載っている地図を活用して地図読みする
・数多く地図読みすれば、OLのレース中、判断が速くなる
<イギリスチームから日本チームへの質問>
・尾根と沢、どちらを選ぶべきか?
→高橋:ケースバイケース
→落合志:沢の方が速いケースが多い
・長くタフなコースをどう攻略すれば良いか?
・夏の植生はどんな感じか?
→落合志:笹藪や竹藪は今とそれほど変わらない
下草は今より増える
・日本の暑さはどう対処すれば良いか?
→高橋:サウナの中にトレッドミルを設置し走る
<最も勝ちたい種目とそのためのトレーニング>
ジェイミー:
ロング
なぜなら、タフネスが要求され、最もチャレンジングだから
対策としては、体調管理、暑さ、ウェア、何日前に来日すればよいか、暑い地域でトレーニングする
ダニエル:
ロング
対策としては、長い距離のインターバルトレーニング、長い距離を走る、暑い昼休みに走る
ジョン:
ロング
クラシックが好き、最もステータスがあるから
対策としては、今回スイスで走ったから問題点は分かっている
(今年世界選手権が行われたスイスは異常気象で猛烈に暑かった)
マーティン:
もちろん、ミドルやスプリントを走りたがっている選手も他にいる
<2005年愛知には、イギリスから男子選手は何人来るか、
また、その選考方法は、速い選手から選ぶのか、それとも種目別に選ぶのか?>
来る人数は5-6人
選考方法は、種目別に選考する
<リレーのメンバー選考、走順決定の方法>
今回のスイスでは、1走をジョンかダンカンが走ることが決まっていた。1走を固めることが重要。3走はエースのジェイミー。
5月の時点で走順は決定していた(リレー本番は8月)
<イギリスチームから日本チームへのメッセージ>
大きなグループが大きな目標に向かうことは良いことだ
その過程が楽しいし、すべてのメンバーが代表になることはできないが、その中から良い選手がきっと出てくる
どんなトレーニングを行うべきか?
どんな仕事を選ぶべきか?
学校や職場とどう関わるか?
ライフスタイルをどう変えるか?
1)体力
2)技術
3)ライフスタイル
この3つが重要な課題である
特にライフスタイルが一番難しい問題である
学校や職場で、情熱を訴える努力をすべき
ダンカンは、毎日1時間余分に働くかわりに、隔週で金曜日を休みにしてもらい、トレーニングを行っている
印象としては、日本人は、走りに力強さが足りない