2009シーズンのトレーニングを振り返る
加藤弘之 (2009年夏)
参考文献
『スピードトレーニングでタイムが伸びる』
弘山勉 株式会社 学習研究社
強くなるドリル・シリーズ11 B.B.Mook
『陸上競技 駅伝強豪校の丸秘練習法、教えます』
ベースボールマガジン社
『速く走る! トレーニングBook』 成美堂出版
『DVDでみるみる上達 速く走る! トレーニングBook』 成美堂出版
今年のトレーニング方針
予選通過には、5000mを15分30秒で走れなければいけない。
5000mを15分30秒で走るためには、1000mを3:10で走れなければいけない。
そのために何をしなけれ
ばいけないか
遅いペースでのランニン
グをやめ、速いペースでのランニングだけに
今まではトレーニング量を増やすために、ある程度低い強度でのランニングを加えていたが、キロ3分で走るからだの使い方とキロ5分で走る体の使い方は、違
うのではないかと考えた。そこで、早いスピードでのランニング以外は、しないこととした。キロ3分で走った距離を如何に増やすかを軸に考えた(実際には、
キロ4分強のJogもやっている)。
体をフレッシュな状態に保ち、速いスピードでのランニング特にTTレベルの練習をおおく取り入れることとした。また、その際にも長く走り過ぎないことを意
識。スプリントは、15分しか走らないのだから、どんなにおおくても、30分以上走る意味はないと考えるようにした。Jogは、最低限でも、キロ4分半
で走れないときは、一切やめるようにした。
これは、僕の体の特性を考慮した結果でもある。トレーニング量を増やすと内蔵機能が低下する。その結果、回復が遅くなる。という循環が起こる。安定的にト
レーニングをするには、適正なトレーニング量があり、それ以上をすると、継続してトレーニングをすることができないからだ。その面から見ても、この考え方
は、自分の体に合っていた。
トレーニング量は、下記のグラフに示す。09年よりハートレートモニターをつけず、自分の体感でHigh、Middle、Lowの三段階で記述するように
した。
ハートレートモニターで計測することのメリットは、走る以外のトレーニングも、定量的に評価できることだと思っている。実際に、走るトレーニングだけであ
れば、走った距離と時間、体感強度だけで、充分トレーニングを考察することはできると思う。
逆にハートレートモニターでトレーニングを管理することのデメリットは、
1.
調子が悪いとHRの上がりが悪い。そのため、がんばっているのに、トレーニング成果(HR強度×時間)が、低く見積もられてしまう。その結
果、もっとトレーニングをしなければいけないという脅迫観念にとらわれる。
2.
どうしても、時間のファクターで評価してしまう。実際にタフになるためには、ある程度のトレーニング量は必要であるが、それだけでは、スピー
ドはつかない。
と考えた。トレーニング日誌は、記録である。にもかかわらず、トレーニング日誌によって、モチベーションが低下されるようなことがあってはいけない(今月
は、10時間しかトレーニングできなかったと思うのではなく、今月は、意味のあるトレーニングが5時間できたと思うようにする)。
また、去年の経験から、自分の体は、トレーニングをしないことによる体力の低下が比較的少ないという特性があることに気がついた。体力の低下
を抑えるために、と思ってやっていたトレーニングはすべて休養時間に当てるようにした。その結果、去年は、一日の平日の睡眠時間は、5-6時間だったの
が、今年は、7 -8時間程度の睡眠を確保することができた。その結果、体はリフレッシュし、良いトレーニングができていたものと考えられる。
トレーニング内容
体のベースつくりという意味での、低強度のJogはあまり取り入れず、中〜高強度のトレーニングのみに近い。
トレーニングの軸は、『朝練でのドリル』と、『帰宅RUN』と『100m*10』と『体幹の筋トレ』の4つである。
朝練:動きつくりのドリル 参考文献参照
目的:股関節の稼動域を増やすこと。体の軸を作る。スピードアップのための足の回転を上げるための動き作り。ハムストリングの強化
1. 関節の柔軟性のために、回旋運動。
2. ハムストリングの稼動域をあげるために、前方への蹴り上げ
3. 体幹の軸を作るために、サイドステップ
4. 足の振り下ろし
5. もも上げ 軸つくり
6. ランジ ハムの強化
夕方 6kmの帰宅ラン
体調に合わせて、TTにするとき、強度を高めに、ペース走的に。など。意識したのは、TTで、一定期間(一ヶ月ぐらい)を目処に確実に自己ベストを更新す
ること。ここぞと決めた日は、朝から緊張感を持って練習に臨んだ。
この練習おかげで、今年一年はコンディショニングがずいぶんうまくなった。どういう風にケアをすると、どう回復するのかを理解できたのは、とても大きかっ
た。
100m*10
調子に合わせて、100m*10を1,2セット
100mダッシュをすることで、体幹の筋力も必要だし、
足の回転に必要な筋力が鍛えられる。また、ランニングフォームを意識して走ることで、正しい動き付けを意識する。
土のグラウンドで、100-100*10で7:30程度でまわした。
土のグラウンドでできないときは、アスファルトで。
オリエンテーリングの練習後などは、よくAdditionalに100mダッシュを付け足した。
腹筋
走っているときの軸を維持するため、また、いわゆる腸腰筋を鍛えて、足の振り上げ速度を上げるのが目的。100m*10をやれない日は、体幹の筋トレをす
るようにした。
トレーニング
Periodization
今期の目標は、WGをメインに、WOCの2大会を目標にした。
毎年、6,7月ごろになると体調不良になることから、6,7月はトレーニングというよりも、調整期となると予想された。また、学生の面倒を見る関係もあ
り、今年は、オリエンテーリングシーズンが比較的早く始まることも、自分にとっては好都合であった。
-12月 トレーニング方針に体を慣らす
1,2月 スピードの向上とともに、週末は、オリエンテーリングスピードの向上
2,3月 主に大会を利用し、オリエンテーリングスピードのコントロール
4,5月 平地でのスピードを維持する。
毎年のことだが、自分が最も強くなっていると感じれるのは、11-2月の、4ヶ月間である。ここは、毎年良いトレーニングができる。よって、そこの期間で
集中して練習をつむこと。そして、その後は、そのイメージを安定化させることを意識し、あまり高いイメージを持ちすぎず、維持するぐらいのイメージにし
た。
トレーニング結果
この一年間のトレーニング時間は、231時間であった。このトレーニング時間は、去年の、半分以下である。それでも、精神的に落ち込まずに
いられたのは、3000mのタイムがきちんと改善されていたからだ。
3000mのタイムは、07年12月に9:50だったが、その後、09年2月に9:41 3月に9:37まで伸びた。ここ数年、スピードの強化が感じられ
ていなかったにもかかわらず、この2,3ヶ月で、10秒以上改善されたのは、トレーニングが間違っていないということの証明であり、自信となった。