世界選手権2009報告書より(抜粋)



加藤弘之 (2009年)



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ここでは加藤選手の世界選手権2009報告書より
「オリエンテーリングの技術的な準備」
「日本男子チームのリレーの今後に向けて」
の2つを抜粋して紹介する。
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1.オリエン テーリングの技術的な準備

練習機会を増やすために、常設コントロールの設置を
4月以降のNT合宿には、個人的な都合によって、参加できなかったため、自主練の機会を増やすように心がけた。
その際に、非常に助かったのは、日光と冨士の常設コントロールである。
この二つがあったおかげで、練習をしたい人を集め、地図を購入するだけで、練習をすることができた。
今後も、常設コントロールを設置可能なテレインがあれば、それを維持してもらえれば、非常に練習が容易であり、非常に助かった。

練習パートナーの存在
自主練には、多くの人に参加してもらえた。
代表選手だけでなく、若手選手にも声をかけることで、自分への刺激にもなり、非常にいい雰囲気で練習をすることができた。
日本オリエンテーリング界の中心は、大学生である。
年間を通じて、最もオリエンテーリングをしているのは、インカレ直前の学生である。
その時期の大学生の意欲は、我々にも見習うところがある。
インカレ対策合宿などに参加することは、自分にとっても非常に大きな刺激となった。

練習の目的
オリエンテーリングのスピードの強化を徹底した。
コースは簡単でもいいので、スピードを高めた練習をするように心がけた。
また、競争するようなシチュエーション(チェイシング、ファシュタ)を積極的に取り入れた。
特に、短い距離で区切り、集団で走る練習は、途切れそうになる集中力を高めて走る必要があり、非常にいい練習になる。
また、一緒に練習をすることから、お互いの動きをチェックし合えるし、一緒にトレーニングをしているという一体感を生み出すことができ非常に良 かったと思う。

Team Sprint
今年の一番の目標は、WGのスプリント競技であったことから、公園でのスプリント練習をおおく取り入れた。
スプリント競技において、世界の舞台を目指すという同志を集め、『Team Sprint』を立ち上げ、月に一回以上の練習機会を設けるようにした。

・3000mTTの定期的な開催:トレーニングによるパフォーマンスの向上を確認するため
・公園での技術練習:集団で走ることで、集中して行う

この2点を目的に開催した。
公園での練習では、コントロールは設置せずに、地図だけをもち、練習を行った。
地図保有団体と相談し、そのような使い方で問題がないと判断された場所において練習を行うようにした。
公園で地図を持って走るだけとはいえ、公園利用者とのトラブルにならないような配慮は必要である。
この練習会は、個人的に非常に大きな意味があった。
大助さんから、トレーニングに関して、相談すること、で、多くのヒントを得ることができた。
われわれは、大助さんからもっともっと多くのことを学ぶ必要がある。
今年度は、各地でパークOシリーズが開催されていた。
特に埼玉パークOは、時期的にも非常に練習機会として助かった。
今後も、あのような開催スタイルで継続されることを望んでいる。


2.日本男子 チームのリレーの今後に向けて

20位以内に入ることには、大きなステータスがある。
そのために、個々のパフォーマンスの向上と、リレーでのパフォーマンスの安定的な発揮の2点が必要である。
個々のパフォーマンスの向上に関しては、別項に譲るとして、リレーでの安定的なパフォーマンスの発揮に関しては、今後も考えていかなければいけな い。
今回の試みとして、国内での事前選考を行った。
メリットとして、現地でのコンディショニング(心と体)に関して、ストレスが減ったことは間違いない。
現地でのパフォーマンスで選考する場合には、チーム内の雰囲気が重くのしかかり、走る選手にとっても負担になる。
しかし、結果的に、そのストレスが、いい意味での緊張感を招いていたという可能性も否定できない。
日本男子としてリレーで世界を戦うということは、一年に一度しかない。
チーム作りをするために、試行錯誤する機会が年に一度しかないというのは、チャンスが少ないといわざるを得ない。
個人種目以上に、リレーでの順位というものが大事であるが、リレーこそ経験が必要であるにもかかわらず、その経験値を稼ぐことが難しいという意味 では、非常に準備が難しいと感じた。
成功例としては、山口選手のパフォーマンスが上げられる。
リレーでのパフォーマンスは日本選手の中で群を抜いており、山口選手のパフォーマンスから、学ぶことが多い。
20位という目標に対して、集団で走りうるのは、1走までである。
今年も、1走までは大きな集団だったのが、2,3走では一気に順位が変動した。
2,3走では個々の能力が大きく左右する。
例年の課題であるが、1走を走りきれる体力を持つ選手の育成が求められる。

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